中国が関税圧力の米にらみ外交積極化 習近平氏は東南アジア歴訪へ

(VOVWORLD) - 中国外務省は11日、習近平国家主席が今月14日から18日の日程で、ベトナム、マレーシア、カンボジアの東南アジア3か国を歴訪すると発表しました。習主席は同日、訪中したスペインのサンチェス首相との首脳会談にも臨みました。

中国は、アメリカのトランプ政権との間で関税をめぐる応酬が激化する中、同様にアメリカの圧力にさらされている国々との関係強化を進め、共闘を促す戦略を進めているとみられます。

習主席にとって、今回の東南アジア歴訪は今年初めての外遊となります。14日と15日にベトナム、15日から18日にかけてマレーシアとカンボジアを訪れる予定です。

中国外務省の林剣報道官は11日の記者会見で、「習主席の外遊は3か国、そして東南アジア諸国連合=ASEANとの関係促進に重大な意義があり、地域や世界の平和、安定のために新たなエネルギーを注入する」と強調しました。

マレーシアは今年のASEAN議長国で、習主席はこの訪問を通じてASEANとの関係強化を進めるとしています。中国は、ベトナムとベトナム東部海域(南シナ海)の領有権問題を抱えていますが、昨年就任したベトナムの最高指導者であるトー・ラム共産党書記長と、同じ社会主義国としての友好関係を確認するとみられます。

また、カンボジアとは外交、経済、安全保障を含むあらゆる分野で関係が緊密化しています。

中国は現在、いわゆる「周辺外交」にも力を入れています。習指導部は今月8日と9日、中国共産党と政府の幹部を集めて「中央周辺工作会議」を開きました。会議では「周辺情勢と世界の変局が深く連動する重要な段階に入った」との認識が示され、周辺国との戦略的な相互信頼の強化や「地域の安定を共同で守る」といった方針が打ち出されました。

アメリカへの直接的な言及は避けられたものの、ASEAN諸国や日本、韓国など周辺国との連携を進め、アメリカに対抗する姿勢がうかがえます。

中国は欧州との関係強化にも重点を置いています。習主席は11日、スペインのサンチェス首相と北京の釣魚台迎賓館で会談しました。中国外務省によりますと、習主席は関税をめぐる問題について「関税戦争に勝者はなく、世界と敵対して自ら孤立するだけだ」と述べ、トランプ政権を念頭に批判しました。

そのうえで、「中国と欧州は共に経済のグローバル化や国際貿易環境を守り、一方的ないじめ行為を防ぎ止めるべきだ」と呼びかけました。

また、李強首相も今月8日、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長と電話会談を行い、「現在、アメリカはさまざまな口実で中国やEUを含むすべての貿易パートナーに対し関税を乱用している」と述べました。

さらに、「これは典型的な単独主義、保護主義、そして経済的ないじめ行為だ」とアメリカを名指しで批判し、「自由で開かれた貿易と投資を守るべきだ」とEU側に共闘を呼びかけました。

中国側によりますと、フォンデアライエン委員長も、中国側と「公平で自由な多国間貿易体制を守る」ことに意欲を示したということです。(産経新聞)

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